image team:現場のあれこれ 〜ソニーHC1使用レポート〜 2005/08

ソニーのHDVハンディカムHC1をお借りして5泊6日の家族旅行に行ってきましたので、ついでのテストレポートです。旅行前日にお借りできたのでちょっと試し撮りをしてみたら・・・広角側が狭すぎる!実際に撮影すると想像以上に狭いです。という事で画質以前に画角を優先したかったので、手持ちのパナソニックのSD用ワイコン(0.7倍)を装着しました。付けたりはずしたりするので、カメラ設定はワイコン無しに統一してあります。さらに今回はあくまでも家族旅行のついでなので、三脚は持っていきませんでした。

■最終的にAS(AEシフト)+1、WS(ホワイトバランスシフト)+2で落ち着きました

今回は旅行の記録ですから、フルオートでの撮影を基本にしてそれでカバーできない部分をマニュアル操作で補うというスタイルで撮影しました。露出に関しては本体左下のボタンでマニュアルに変更できます。これはボタンを一度押すと現在の設定がホールドされるので、AEロックのように使うと便利に使えました。さらに手動調整は本体のボタンでできるのですが、割と急激に変わりますのでちょっとびっくり。オート時はワンテンポ遅れて露出が順応しますが、それほど問題にはなりません。それより、全体的に多少暗めに落ち着くようで、AEシフトを+1に設定したところ、大半のシチュエーションで必要十分な露出が得られました。室内で窓がちょっと写りこんでいたりする状況でもオートで問題ありません。画面の何割かに強い部分があっても、そこは無視して調整してくれるようで、以前のカメラなら手動調整すべきところもオートでいけました。最終的に9割以上の部分でオートでした。撮影時の液晶画面を乗せておきますので、参考にしてください。ゼブラは100%です。


パナのワイコンと大容量バッテリーを装着して気軽に撮影しました

オート露出(AS+1)でも空の部分に食われていません。

曇り空でのオート露出(AS+1)です。

ホワイトバランスに関しては、青めにシフトするようで、テスト段階で+1(赤方向)にシフトさせたのですが、それでもまだ青いので旅行中は+2にシフトさせました。それでも曇り空等ではまだ青っぽいので、屋外モード(5600K固定)を使ったりしました。手動でもとれますが、適当な白いものでとってみても良い結果にならなかったので、オートもしくは屋内・屋外固定で撮影しました。最近のパナソニックカメラは蛍光灯(4400Kぐらい?)があるので、この色温度はプリセットであると便利でした。設定方法はタッチパネルのメニューの中から選べます。

■オートフォーカスは結構はずしてしまう上に・・・&スミアと逆光補正

HC1はズームもしくはフォーカスを手動リングでマニュアル調整できますが、いずれも使いにくかったです。個人的にはズームは周す率に対しての変動値が少ないですし、フォーカスの場合は変動値が大きすました。使うといえば、時間のある三脚撮影で拡大フォーカス機能を使ってフォーカスを調整する時ぐらいになると思います。手持ちの旅行撮影では、使えるケースが少ないです。といって、撮影を進めていくと実はオートフォーカスがあまりあてにならない事が判明。結構盛大に外します。外れるときはマクロ領域までいくような感じで外してしまうので、困り者。この手は大抵ズーム動作をしたりカメラをパンして戻すと直ってくれるのですが、それでもなかなか直らないので、さらに困り者。無限大フォーカスボタンがあれば、それを押せばなんとかなるのですが、それもないので、どうしようかな・・・と。かといって、手動調整が困難なので、旅行の片手状態だと結局オートにたよるしかありません。外すときはよく外すし、問題ないときは問題ないので、何か苦手な状況があるのだと思いますが、そのクセまでは見抜けませんでした。ちなみに晴天の屋外ではちょっと液晶が見えにくいかも知れませんが、VFは想像以上に鮮明に見えました。

CMOSは原理的にスミアがでないという事ですが、背景で太陽がモロに入るとそれなりにスミアっぽいものが発生しますが、通常の家庭用カメラに比べるとかなり発生しにくいです。これ、実は家庭用カメラには重要であり、子供の誕生日のキャンドルや夜の屋台の電球などに盛大にスミアが発生してしまう事が多い中、そのシチュエーションで発生しないのはうれしいです。またHC1は最低15ルクス必要という事で暗いカメラだと思う方がいると思いますが、このサイズのカメラでは大抵の機種で暗い部分の撮影が苦手です。その中で、ちょっと暗い室内や夜景を撮影してみたら、大半のカメラのように全体的に白っちゃけたり逆に全部が暗くなるというわけではなく、暗い部分はノイズが盛大にのりますが明るい部分は普通に撮影されているので意外と好印象です。それと暗い室内では逆光補正も有効。逆光補正というよりは強力なブラックストレッチに近いので、暗い部分は大幅に明るくなる反面、既に明るい部分はそれほど持ち上がりませんので(ただしクロマは落ちる)、逆行で無くても暗いなぁと思ったら利用してみるのも有効かと思います。ダイナミックレンジは広いので、撮影はラクです。ちょっとした民生3CCDよりあるかも知れません。ただ発色は基本的に地味です。

■バッテリー流用の時は要注意。立ち上がりが遅いのはちょっと困ります。

今回は手持ちのMバッテリーがあったので少し前のFM90を2本とFM91を1本、合計3本の大容量バッテリーを持っていきました。FM90は多少へこたれているので(TRVで3時間前後の連続運用程度)3本持っていったのですが、正解でした。FM90を装着したら300分近く撮影可能と出たのですが、ほんの1時間強(テープ録画は15分ぐらい)位で使えなくなりました。最近買ったFM91は300分強の撮影可能と出ましたが、こちらは多分3時間ぐらい持っています。新品の大容量バッテリーなら2本で十分かと思いますが、ちょっと使い込んだバッテリーだとバッテリーエラー表示が出て1分もしないうちに落ちたので、ご注意を。またSDコンポジット出力が従来の3.5mm4極プラグではないのでこちらにもご注意。

旅行をしていると、「あ!撮ろう!」と思ったシーンでは電源を入れたと同時に録画ボタンを押してから、カメラを構えて画角を決めます(職業癖?)。通常の機種はちょうど画角が決まったぐらいでテープが回り始めますが、HC1は起動直後の録画は非常に遅いです。何度か撮りたいシーンを撮り逃しました(いや、いいんですけど・・・)。内部の起動に時間がかかるのでしょうか、3〜4秒はかかると思います。個人的には改善して欲しい点です。ただし、電源を入れていれば普通に録画開始されますが、民生機ですから常に電源を入れっぱなしにはできません(自動的に電源オフになる)。

■プレビューしてみた画質の総評

一言で言うと、FX1と非常に似ています。何となくパッとしないというか全体的にベターとしているというか、良く言えば落ち着いていると言う感じです。ただHC1はブルー系にちょっと転がっている印象を受けました。その反面、原色があると鮮やかな感じも受けます。手持ちだと解像度が劣化して圧縮ノイズが盛大に出てしまうので、やはり三脚固定での使用が画質的にはベターですが、実際は手持ちが大半になるカメラでしょうね。手持ちの部分はHDモニターで見ると、ちょっと遅れてベタっとしたノイズとともに解像度が劣化(それでも解像度はSDよりはあるとは思いますが、気持ち遅れて発生するのが気になる所)します。カメラ本体のDVアウトからダンコンした映像で見ると、解像度が高い部分(細かい草など)にチリチリしたノイズっぽく現れます。HDモニターを持っていたり、急いでスナップ撮影もHD化したい場合を除いては、それほど慌てて買うような機種では無いかなぁ、と思いました(ピントを外しやすい件も考慮)。ただ、既にFX1を持っていて屋外でのサブとして欲しい、という用途では非常に良いと思いますし、編集で混ぜてもほとんど違和感ないと思います。舞台撮影を考えている方は暗いと問答無用でノイズが出るクセがあるので、ご注意を。

最後になりますが、かなりシビアに見ています。一般的に考えると今までのビデオカメラより圧倒的に細かい部分まで描写されている雰囲気を感じると思いますし、露出はほぼオートでOK、実売本体13万円代で買えますので、この予算があってとりあえずビデオが欲しいけど・・・という方には発色の傾向さえ嫌いでなければ、候補に入れてみたら良いと思います。

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